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2006年7月31日 (月)

「京都の精神」 梅棹忠夫 角川書店 1987

Kyoutono 比較文化論、文化人類学の重鎮である梅棹忠夫の京都に関する講演を集めた本。梅棹は、京都生まれ京都育ちで、京大人文研出身。
講演が行われた時期、状況、演題もまちまちであるため、内容に重複がある一方で統一感に欠けるのは致し方が無いだろう。もとは、「梅棹忠夫の京都案内」(角川書店)と一書にして刊行予定だったそうなので、そちらもそのうち読まねばならないと思う。

本書は、「京都の人の中華思想」について語るところから始まる。これは入江敦彦の「京都人だけが知っている」と同じである。
しかし、読み進めてきてわかった。私が甘かったと。
全部が京都で行われた講演であるということもあるのだろう、梅棹の筆(口)は入江のはるか上を行っているのだ。

「私ども京都市民は、ここが日本の中心である、日本文化の本物は全部ここにある、ほかのものは偽者とはいわないまでも、二流品だと考えてまいりました」
「どうも京都を見返すというのが日本人の原動力になっているような気がする。それの拠点が東京なんです。東京というものは、京都を見返すために作った都である。どうもそんな感じがするんです」
「この京都という都市には、こういういいかたはおかしいかもしれませんが、わたしのような先祖代々の純系の市民、いわば京都サラブレッドとも言うべき中核的市民層、市民団ですね、それがかっちり存在する。彼らがこのまちの文化を支えてきた、あるいは文化を守ってきた」

江戸、京都、大坂の三都比較論に関して
「京都人はそういうことをいっさいやらない。江戸や大坂など初めから比較の対象にならないわけです。全部、本当はここがいちばんいい。初めから決まっているんだ。」

古都保存法が、京都と奈良と鎌倉に適応されたことに関して
「京都を「古都」とはどういうことか。奈良が古都と言うのはわかる。しかし京都は古都ではない。百万を超える人口をかかえ、近代的変革ととげ、日々発展しつつある都市なのだ。それにむかって「古都」とはなにごとぞ。とまず思ったのです。くわえて鎌倉もこの「古都」の仲間いりをするとしって、これまたびっくりしました。(中略) 京都を鎌倉のような、一時期幕府所在地であったに過ぎない都市と一緒にしてもらっては困る」

入江敦彦は、京都人が「よそさん」に対してとる行動は、外部からの侵入者(支配者)に対して身を守るために自然に身につけてきた処世術であるという。
しかし、梅棹はもっと単純である。
「京都は日本ではないということなんです。(中略) 日本の美学は武家の美学であって、封建美学である。京都はそういうものが欠落したまちですね。(中略) 結局日本という国は京都対非京都の対立構造になっている。そして、地方はすべてかぎりなく京都に接近することをもって目標としながら、しかも全部反京都であるということです」

この本に収録された講演の多くは、都市としての京都を考えるシンポジウムの中で行われた。梅棹忠夫は京都に関して次のような認識を持っている。
・京都は今も昔も日本の文化的中心である
・京都は今も日本の首都である と京都人は思ってるが、現実はそうではない
・現在の京都は近代的な大都市である、しかし近代都市としての京都は衰退気味である
・文化的に日本の中心であり続け、且つ近代都市としても発展していくのが京都の本来の姿である

こういうことを語る梅棹は、私には、郷土愛に燃える一市民にしか見えない。「郷土」なんて言葉をつかったら「京都を“郷土”とはなにごとぞ!」と一喝されてしまうだろうが・・・
梅棹は上記の目標を実現するため、「文化首都」とか「儀典都市」などを提唱するのだが、結局のところ次の「切り札」を言い出してしまうのだ。

・天皇に京都に戻っていただき、首都を京都にする。

京都が一番でないと気がすまないという強い意志は感じられる。
巻末に「私家版 京都小事典」がついており、こちらのほうが読み物としては面白い。京都検定を受験する人も是非どうぞ。

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