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2006年8月23日 (水)

『日光東照宮の謎』 高藤晴俊 講談社現代新書

Tousyouguu_kimon近々日光観光旅行の予定があるため予習としてこの本を読んでみた。著者は東照宮禰宜(ねぎ)・文庫長の職にある人である。であるから本書は一般人の疑問に専門家が答える教養書なのか・・・と思ったら大違い。日光東照宮は専門家の間でも謎だらけであるらしい。この本では前半は東照宮の来歴についての謎を、後半は東照宮の建築の特徴である装飾彫刻群についての不思議を扱っている。

この本を読んで一つの疑問点が氷解した。日光あるいは江戸に関する本を読んでいると「日光は江戸の鬼門に当たる」「江戸の鬼門に寛永寺が建立されその延長線上には日光がある」などという記述がみられるのだ。しかし、上の地図を見てもわかるように日光は江戸の真北にある。鬼門の方角(北東)ではない。 本書では家康が最初久能山に弔われその後日光に移された地誌的意味として三つの線を想定する。

一、岡崎と京都、久能山を結ぶ東西の線-(太陽の道)-浄土信仰と関連

二、江戸と日光と北極星を結ぶ南北の線-(北辰の道)-北極星信仰と関連

三、久能山と日光と富士山を結ぶ線---(不死の道)-富士山信仰と関連

日光と江戸を一緒にして考えることで世界の中心である北極星と同一視できる。日光が江戸の守護神であることは間違いないが、それは北辰信仰にもとづくものであるらしい。それでは何故「日光は江戸の鬼門」であるといわれるのか。おそらく日光が「関八州の鬼門」であることと混同されているのではないだろうか?日光山は東照宮が造営される遥か前から修験道の霊山であり、関八州と蝦夷との境界に位置する重要な場所であった。文字通りの鬼門でなのある。

日光は今も昔も観光の定番であり続けているにもかかわらず、近隣の鬼怒川温泉とともにどこか野暮ったい俗っぽい感じを引きずっている。その理由に関しては本書でも少し触れられているのだが、今回は霊場としての日光を出来るだけ味わってこようと思っている。

2006年8月18日 (金)

『大江戸見聞録』 江戸文化歴史検定協会  小学館

Ooedokenbunroku江戸文化歴史検定の公式教科書(初級編)である。3級試験は八割が、2級は五割がこの本の内容から出題される(1級試験は2007年より実施)。小学館と江戸東京博物館はこれまでに『ビジュアル・ワイド江戸時代館』など江戸文化関係の書籍を多数出版している。この本はそれらの内容を、読み物的に凝縮させた一冊と言えるだろう。

読者を初めて江戸見物に来た旅行客にみたてて、江戸の名所をそこの住民が案内するという趣向。案内人のそれぞれの身分や性格をはっきりさせることで、テレビを見ているようにすいすい楽しく読みすすむことが出来る。図版を上部に、解説を脚注に持ってきており、興味があれば注をじっくり読むことも出来る。個人的にはこの「趣向」はかなり成功しているように思える。 試験を受ける受けないにかかわらず、江戸に興味を持ったら一読を薦めたい本だ。

2006年8月15日 (火)

がんばれ凡人!

「がんばれ凡人!」というサイトがある。Mr.凡人という人が全く個人的に運営しているサイトらしいのだが、これがすばらしい。文化系を中心とした生涯学習を支援するページなのだが、必要な情報がきれいに簡潔にまとめてあって便利なことこの上ない。

例 中学生向けの日本史年表   

  高校生向けの百人一首の鑑賞

  一般人向けの間違いやすい日本語

自分もこんな良いサイトを作れたらなあと思います。

2006年8月 8日 (火)

きもの文化検定

Kimononokihon着物、和服関係の検定はすでに幾つか存在するが、いまひとつ普及していない。着付け教室などが発行する「着付けの免状」と言うものが存在するが、着付け教室の受講証明書のようなもので、検定とはいえないものが多い。

京都検定の成功に刺激されて「全日本きもの振興会」が始めた「きもの文化検定」は、自分の知識の確認や学習の目標とするための趣味検定である。

今年の11月が第一回で、 4級と5級が実施される。公式教本「きものの基本」もアシェット婦人画報社からすでに出版されていて、私も入手予定である。今年は初回なので様子をみて2級ぐらいから受験してみようかと思っている。

2006年8月 3日 (木)

『天平の甍』 井上靖 昭和32年 新潮文庫

Tosyodaiji 遣唐使によって唐に渡った日本の留学僧たちの物語である。とくに唐の名僧鑒真(鑑真がんじん)の来朝に力を尽くした普照(ふしょう)と栄叡(ようえい)という二人の僧が話の中心となっている。この小説では鑒真来朝へいたる苦難の道のりが有名であるが、留学僧という立場の人間がどのような道をとるべきかという点も大きな主題だ。

遣唐使の船に乗る留学生に選ばれるというだけで大変な栄誉である。唐で学び帰国した彼らは生粋のエリート僧として日本の仏教界で指導的役割を果たすはすだ。

唐に渡った普照と栄叡は、秀才留学生として名高く日本に帰って政治の中枢を担うことになる僧玄昉(げんぼう)や吉備真備(きびのまきび)等と会う。その一方であまりうだつのあがらない留学僧とも知り合う。

その一人に業行(ぎょうこう)という留学僧がいた。彼は唐に来て二十数年になるが、現在は方々の寺から借りてきた経典の写経をひたすら行っている。

業行は言う。自分が一生懸命勉強したところでたいしたものにはならない、それより時間が許す限り写経をしてそれを日本に持ち帰ったほうがはるかに有益である、と。

自分の才覚と努力で成果を上げ世に認められることよりも、自らを人間コピー機として駆使するほうが良い、そう彼は判断したのだ。これは一つの合理主義的選択であるがまた勇気のある決断である。

そして、普照と栄叡も自分の功績を積むことよりも、正式な戒律を日本に伝えるために唐の高僧を日本に招聘することに自らの使命を見出していくのである。

情熱と使命の物語。私にはそう読めた。

そして、人間の思いとは関係なく時間が無表情に流れていく。そのような歴史の流れの中での彼ら留学僧たちの物語はあるいは運命という言葉がふさわしいのかも知れない。

本書の題名は、唐招提寺の屋根の鴟尾(しび、お城の屋根のシャチホコにあたる部分)が唐から普照に宛てて送られてきたものである、という設定による。唐招提寺金堂の西方の鴟尾がこれにあたるのだそうだ。

以前奈良を旅行したときには唐招提寺は改修工事中で見学できなかったが、平成20年に工事が終了する予定である。また奈良を訪ねるのが楽しみになりそうだ。

<時代>

西暦733年~754年 第10回遣唐使から第12回遣唐使まで

<主な登場人物>

鑒真(鑑真)、留学僧(普照、栄叡など)、吉備真備、玄昉、阿倍仲麻呂、唐の玄宗皇帝

<重要な年号>

724年:聖武天皇即位

729年:長屋王の変

733年:第10回遣唐使派遣(多治比広成、中臣名代、平群広成大伴古麻呂)

740年:藤原広嗣の乱

741年:国分寺建立の詔

743年:大仏建立の詔

746年:第11回遣唐使→派遣中止

749年:孝謙天皇即位

752年:第12回遣唐使派遣(藤原清河(大使)吉備真備(副使)、大伴古麻呂(副使))

752東大寺大仏開眼供養

754年:第12回遣唐使帰還、鑑真来朝

757年:養老律令施行、橘奈良麻呂の乱

759年:唐招提寺建立

763年:鑑真入寂

764年:藤原仲麻呂の乱

2006年8月 2日 (水)

「詳説日本史史料集」 山川出版社

Nihonsshi_siryousyu歴史検定にしても、大学受験にしても歴史的資料に当たってみることはとても有利になる。試験問題中に資料が引用されることも多い。歴史検定を主催している山川出版社のこの本は大学受験用の類書の中で掲載資料数が一番多い。 380頁超で値段は670円である。恐るべし受験参考書。

2006年8月 1日 (火)

『日出処の天子』 山岸凉子 白泉社

Tenshi おおむね時代順に歴史小説を読んで行きたいと思っているのだが、古代を扱った歴史小説はあまり多くない。そこで今回読んだのは、山岸凉子の『日出処の天子(ひいずるところのてんし)』である。
歴史小説倶楽部といっておきながら初回が漫画ではしょうがないと思われるかもしれないが、まあ有名な漫画だということでご勘弁を。

これを最初に読んだのはたぶん高校生のときだ。白泉社の「LaLa」に連載されていたのだが、私はもちろん単行本で読んだ(笑)。
この漫画がすごいのは、概ね史実に沿った物語を背景にした歴史漫画でありながら、聖徳太子に関しては超能力(あるいは天才性)と同性愛という耽美系少女マンガの2大ターボチャージャーを搭載している点である。
それが山岸凉子の限りなく繊細な線で描かれると、恐ろしいぐらいの迫力を持つ。
権力闘争と恋愛というドラマチックな物語であるが、漫画全体に漂うのは例えようもない孤独と疎外感である。
非常に異色でマンガあるが少女マンガのツボはしっかり押さえている。やっぱり名作なんあだなと思います。

<扱っている年代>
西暦580-590年代 聖徳太子の10歳ぐらいから摂政になるまで
<主な登場人物>
厩戸皇子(聖徳太子)、蘇我毛人(蝦夷)、蘇我馬子、額田部皇女(推古天皇)
<重要な年号>
585年:用明天皇即位
587年:蘇我馬子と物部守屋の戦、崇峻天皇即位
592年:崇峻天皇暗殺、推古天皇即位
593年:聖徳太子摂政となる
600年:遣隋使派遣

歴史小説倶楽部

先日TVで、ご当地検定がたくさん出来ているとの報道があった。全国の観光地と名がつくところの多くがご当地検定の準備を進めているのだそうな。
考えてみると、お金をかけずに地域振興を図るためには、何十億円もかけてヘンチクリンなモニュメントを作るより検定をするほうがずっとよいと思う。

そういうわけで?(^_^.)、今年十二月の歴史検定(日本史)の準備として歴史小説でも読んでみようかと思っている。
実は私は小説の類をあまり読まない。楽しみで本を読むというよりは必要に迫られて読書をするタイプだ。しかし、司馬遼太郎や、吉川英治、吉村昭などは日本人(特に中年以降の男性)に共通の教養書となってしまった感もあり、読んでみるのも悪くないかなと思ったのだ。

歴史の勉強の副読本として小説を読むのには少し注意がいると思う。
まず、小説はあくまでフィクションであり、創作の部分が多く入り込んでいるということ。
そして現代の小説は結局のところ現代人が読んで面白く感じるように作られているということだ。
そこが純粋な古典文学と違う部分だ。
昔の人と今の私達とは同じ日本人でも社会、生活文化、思考様式、感情などあらゆる面で違いがあり、おおむね時代が遡るほどその齟齬は大きくなるはずだ。現代人が楽しむ物語を作るためには登場人物をあるていど「現代人化」しなければならない。
但し、そのことを頭に入れておけば、記憶を定着させるために小説を読むのは役に立つことだと思う。
古代から現代に向かって順番に歴史小説を読んでいくつもりだが、時間の制約もあり長編は避けていこうと思っている。

江戸文化歴史検定

Jukenn_1 京都検定が大成功し、参考書も次々と出版されている。
そして、新たな検定も続々と登場している。

きもの関係から紹介しよう。
まずは「男のきもの大全」の早坂伊織さんが主催する「男のきもの検定」。
早坂さんのサイトでは以前より知識の確認のために簡単なクイズ形式の力だめしがあったが、この検定はそれを発展させたものと考えられる。
現在のところ6級のみだが、順次整備されていくはずだ。

早坂氏の検定は個人で運営するものだが、日本着物振興会「きもの文化検定」を始めるらしい。
もちろん問題のほとんどは女性の着物に関することになるだろう。とりあえず今年の11月開始。受験者がどのくらいになるか注目したい。

京都検定に対抗する検定としては、「江戸文化歴史検定」も注目だ。主催は江戸東京博物館と小学館という強力タッグだ。こちらは子供や大人を含めかなりの受験者がありそうだ。

「日本史B用語集」山川出版社

Nihonsib_2 受験参考書は究極の実用書だと常々思っている。
歴史用語辞典の類はたくさん出版されているが、自分が持っているのは山川の受験用のもの。
この用語辞典の特徴は時代順の配列になってること。
安価でわかりやすい用語集だ。

「京都 地名の由来を歩く」 谷川影英 KKベストセラーズ

Timei 京都の地名を解説した本。著者は筑波大学教授で地名の研究家。
「水」「坂」「仏教」などテーマごとに京都の地名の由来を解説。
地味な本だが、観光案内としても使える好著だ。

「京都の不思議」 黒田正子 光村推古書院

3d91bb987f35a616adc250cc4f23d242 京都の不思議、謎についてのエッセイ。著者は愛媛県出身で、同志社大学で学びその後京都で広告などの仕事をしている人。つまり、学者や研究家でもなければ、生粋の京都人と言うわけでもないのだ。この著者の立場が、この本を(京都人以外の人にとって)とても読みやすい本にしている。京都に関して疑問がわくと著者は、本を調べ、現地に赴き、町の老人に聞き取り調査をしたり、専門家に話を聞きにいったりする。友人と一緒に、不思議調査探検をしているような気分になれる。文章も簡潔で読みやすい好著である。

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