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2006年10月27日 (金)

『無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和』 網野善彦 平凡社

Muenkugairaku 歴史学者網野善彦の高名な著作である。この本では、一般的には権力に一方的に抑圧された存在と考えられていた中世の民衆社会において、芸能技能集団である漂泊民、遊行僧や禅僧などの仏教・寺社勢力を媒介として「自由」な空間を形づくっていたことが論証される。それが、「無縁 むえん」「公界 くがい」「楽 らく」である。

この説には批判もあるらしいのであるが、刺激的な本であることは変わりがない。「中世」という言葉から受ける印象を一新する書物である。

例えば宮崎駿の名作アニメーション映画「もののけ姫」の舞台である「たたら場」は、典型的な「公界」として描かれる。製鉄業という技能集団、武士勢力からの独立、皇室とのつながり、女性の高い地位等々。特に、首長である「エボシ」が秘密裏に癩病(ハンセン氏病)の保養施設を作り、彼らに最新型の銃の製造をさせているのが象徴的である。差別された人々と最先端技術との結合は「公界」でしかありえない。

おそらく宮崎駿は網野善彦の熱心な読者なのだろう。映画「もののけ姫」はその細部にも宮崎の演出の冴えが響き渡る作品だが、こういう部分も映画に奥行きを与えているのだ。

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